アルムナイネットワークという言葉を聞いたことはありますか?
聞いたことのない方からすればアルムナイ??
あるの?ないの?どっちと困惑する言葉かもしれませんね。
これはリクルートや採用に関係する方ならあるよとお答えされるであろうここ数年耳にすることが多くなった採用に関係する言葉です。
今回はリフェラル採用に次ぐこのアルムナイ採用について人不足に悩む中小企業で活用はありか?なしか?について少し記事にしてみたいと思います。
アルムナイとは?
アルムナイとは、英語でalumniと表記し、「卒業生」を意味する言葉です。
人事界隈では「退職した社員」を意味し、このアルムナイの方とのネットワークを構築し、一度会社を辞められた方に再度働いてもらったり、協業してははどうだろうかとして注目されています。
そこまでして人手不足なのと思われるかもしれませんが、日本も欧米ほどではまだありませんが人の動きがかなり流動的になってきました。
終身雇用の時代感覚は薄れ転職への抵抗もほとんどなくなっている中、流動性は止められません。
企業はエンゲージメントを高めるなど定着率に取り組む一方、今後さらに深刻になる人材不足に対応を迫れています。
大手の中では早くもアルムナイネットワークを活用する企業が増えています。
アルムナイ採用のメリットは従来働いていた人なので自社製品やサービスの理解度が高く、即戦力として期待できる点です。
またアルムナイネットワークを構築し退職者と良好な関係を維持することができれば
好意的な紹介によるリファラル採用につながる可能性があるというものです。
ここまで聞けばアルムナイ、いいじゃない!!と思われるかもしれません。
ではこれを中小企業は有効に活用できるでしょうか。
自社がメンバーシップ型の会社かジョブ型の会社か
まず、自社がメンバーシップ型かジョブ型かが重要になります。
メンバーシップ型の雇用とは、まだまだ中小企業の多くの雇用の仕組みで、
職務や勤務地については多少配慮する企業が増えてきたものの、基本はそれらも限定することなく新卒で正社員を一括採用し、長期にわたって雇用する雇用システムです。
「ずっと一緒に働いていく仲間だぜ!!」的な採用する方法です。
一方、ジョブ型雇用は「仕事内容にマッチする人材」を採用するシステムです。
職務や勤務地、ポジション、勤務時間があらかじめ職務記述書などにより定められています。仕事の内容は基本限定的で、専門性が求められます。
「〇〇仕事に対して働いてくれる人よろしく!!」的な採用方法です。
ジョブ型はIT系や金融、コンサルティング系に多いですね。
ということで、まずこのメンバーシップ型かジョブ型の会社かどちらかでアルムナイ採用に向いているかいないかが決まってきます。
ジョブ型の場合はアルムナイ採用はお互いの関係構築に少し時間がかかるので
アルムナイネットワークを支援している企業に問い合わせ準備もありかと思います。
一方、まだまだメンバーシップ型から抜け出せない中小企業が多い。
ということでメンバーシップ型に絞ってアルムナイ採用はある?なし?について考えます。
メンバーシップ型の場合、一概には言えませんが、中小企業ではそもそも定年まで働いてくださった社員の方の再雇用率が高いと思われます。
お互いにラポールがあるので職種の変更はあるかもしれませんがそのまま働き続けてくれる場合が多いようです。
それでも定年で再雇用を行なったにも関わらず辞められる例としては同一賃金ではなく、再雇用とともに賃金カットされた場合で仕事の内容はそう変わらない場合が多いようです。
こちらは残念なことですが辞められた方から多く聞かれる声は、お金の問題というよりむしろ関係性の問題のように聞こえます。
オーナー側が当然のような振る舞い、指示をしながらも賃金カットはシビアに行うことで気持ちが冷めてしまうようです。
次に途中で退職してしまった方をアルムナイとして再雇用が可能かについてですが、メンバーシップ型の場合は「裏切り」と捉える傾向が高く、お互いの復縁は難しそうです。オーナー企業の場合は裏切り者扱いして途中退社の方とコミュニケーションがあることを情報流出などのリスクと嫌がる傾向も強いようです。
上層部の思考を180度変えてから出ないと注目されているからとアルムナイ採用を取り入れても上手くいかないでしょう。
ただ、退職理由が育児をするためなど育休選択でなく退職を選ばれた方や結婚などにより距離的に働けなくなったなどの場合は可能性が高いと思われます。
このような場合はアルムナイネットワークを利用してつながっていることである程度子供が大きくなった時点、支店などが近くにある場合などで再雇用も期待できるかもしれません。
アルムナイ採用は単独でネットワークを構築することはなかなか難しいです。
ネットワークを支援する企業がありますのでそちらに委託するのがおすすめです。
ただし、ネットワーク構築には根気と時間が必要ですのですぐに成果は出にくい特長のある採用方法です。ロングスパンで企業ブランド価値を高める気持ちで取り組むのが良いようです。
メンバーシップ型の企業はアルムナイ採用に取り組む際にはアルムナイにとって何がメリットかをしっかり考えた上で取り組まないとただただなんとしても人材確保という気持ちで初めてもコストだけが出ていく結果になるかもしれません。
本日はアルムナイ採用について考えてみました。
本日もお読みいただきましてありがとうございました。