コーチというとみなさんはどんなイメージを持たれますか。
スポーツコーチのイメージが「パッと」頭に浮かぶ方が多いのではないでしょうか。
もしくは『コーチング』という言葉をビジネスで聞いたことのある方ならエグゼクティブな人たちが契約しているなど、どちらにしても自分にはあまり関係ないと感じられているのではないかと思います。
しかし、現代は情報過多であり、それに伴う脳における選択の回数が格段に増えてしまってます。脳が潜在的な過活動な今、スポーツ選手のような専門家や、エグゼクティブのような時間と決断に追われている人達だけでなく、『コーチング』がもっと身近に活用される時がくると感じています。
今回はそんなコーチングについて、人が「コーチをつける」理由について少し触れたいと思います。
エグゼクティブがコーチをつける理由
忙しくて時間がないエグゼクティブな人ほどコーチをつけています。
これは自分が忙しすぎて判断に迷う、またその時間が取れないから手っ取り早く判断を下すためにコーチをつけていると思われますか。
答えはNoです。
もしくは、それを期待してコーチ契約をしたエグゼクティブがいたとしたら、きっと役立たずと喧嘩別れしているのではないでしょうか。
どちらかと言えばそういう役割はコンサルティングの仕事ですが、コンサルティングでさえそのような丸投げのアドバイスというていの答えを求めているようではうまく機能しません。
これには多くの方が「コーチング」へのイメージに誤解があるからだと思っています。
コーチングへのイメージと誤解
私たちは学生の頃の経験などよりスポーツのコーチ=コーチのイメージが強くありませんか。そしてコーチの役割について「教える人」「アドバイスする人」「指導する人」と考えていませんでしょうか。
しかし本来のコーチングはクライアント(依頼者)にアドバイスをしたり、依頼者の問題を分析し、代わりにそれを解決したりはしません。
ではコーチは何をするのかと言いますと、クライアントが自らの力で目標を達成するために、クライアントが知識やスキルを身に着けること、必要な考え方や行動に変えていくことにフォーカスし、より早く、確実に『目標』にたどり着けるようにサポートする役割です。
つまり、対話を重ねることを通じて、行動を起こす意欲が沸くようにする事がコーチングです。
教えも、アドバイスも指導もないコーチは必要なのか?
方法を教えてくれるわけでもアドバイスも指導ももらえないならコストをかけてまでコーチなんてわざわざいるのか。そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。
あえて言わせて頂きますが、もしそのように「コーチング」を捉えていらっしゃるのであれば、あなたはまだコーチをつける段階ではなく目下やるべき事が数多ある状態か、いつも自分で考えることをサボっている方、もしくはその反対で自分でしっかりと今やるべき事が見えてそれに専念されていらっしゃる方だと思います。
逆にそれらに当てはまらない方で、「何をしたらいいかわからないけど何かしなくてはいけない」と漠然と不安な方、「とりあえずたてた『目標』を達成したい」、もしくは「『目標』自体を見つけて有意義に時間を使って取り組みたい」と思っている方はぜひもう少しこのまま読み進めて下さい。
脳科学的にコーチをつける理由
人は脳で色々と考えているのは周知の事実。そしてもう少し具体的に言えば人は脳の「前頭葉」という部位で自分に対して日々「問いかけ」を作り出し、今までの勉強や経験で蓄えた知識や情報が格納されている「側頭葉」という部位から情報を引き出して日々考えて行動しています。
つまり、いつも同じ「問い」を投げかけれれていたら、同じ情報しか引き出されず、当然考えも行動も変容しません。でも、これだけ情報がたくさんアクセスできる時代、必要な情報はどんどんと必要に応じて蓄えていけるだろうと思われるかもしれません。確かに知識量はそうであっても、私たちの思考は残念ながら同じように多様にはなりにくいものです。「そうでありたい」「そうあって欲しい」の潜在的な思考から抜け出せず、なかなか新しい「問いかけ」に辿り着けないのです。結果、引き出される情報はさほど変化のないものが選択されます。また、自分が日々入手している情報も、その思考から行動が選択されますし、スマホがその人の趣向に合わせて表示される内容が違うなどは有名な話。つまり情報は無意識下でもスクリーニングされているのです。
よって、新しいアクションを起こすためには、自分だけでは生み出せないような「問いかけ」によって「側頭葉」から新たな情報が引き出される新しいプロセスを導入する必要があるのです。
すなわち、コーチをつける理由は自分にはない「問い」を自分に変わってコーチから様々な質問や投げかけを受ける事で、自分の持つ情報源を最大限に活用し、自分の行動や変化のスピードを高め、パフォーマンスを上げる事が目的です。
コーチである必要はあるのか
それならば友達に相談する、上司に意見を聞けばいい。そう感じられるかもしれません。正直言いますとそれでもいいと思います。
それでもしっかりと新しい「問い」が与えられ、継続的に同じテーマについて対話がなされれば問題はありません。
エグゼクティブがコーチを逆に必要とするのは立場上、なかなかそのような「問い」を受けられる人がいない、もしくは定期的な対話の時間が取れないなどの理由でコストをかけて一つのタスクにしている側面もあります。
もちろん、最高のコーチはいい「問いかけ」をし、目標へ導いてくれます。結果パフォーマンスが全然違ってきますので、コスパがいいのです。
もし、あなたが友達、同期、上司へいつだって気兼ねなく相談でき、偶然ではなく、傾聴や質問を的確にしてくれ、あなたがその言葉に耳を傾ける事ができるのであれば取り急ぎはコーチは必要でないかもしれません。でもその環境に恵まれた人はわずかです。
まとめ
今回はコストと時間をかけてまでコーチをつけるのはなぜかについて書いてみました。
「わかっているけど行動できない」これは多くの人が経験している悩みだと思います。
コーチはそんなわかっていると行動の橋渡しをしてくれる最善のサポーターです。
コーチは傾聴し、クライアントに「問い」、クライアントはその「問い」に向き合う事で自らの知識と意思、そしてそこから生まれた決意と行動により目標達成に近づいて行きます。
そういった最良の時間を得る事ができれば、あなたは遠回りせずに自らの求めている答えを自分の考えから生み出す事ができるのです。
それを期待してコストと時間をかけてまでコーチをつけるのです。