「りんご」っていつでもどこでも売っている。そんな商品ですよね。
品種によって味は当然違いますが、みなさんは同じ品種のりんごを買う時何を基準で選びますか?きっと、「大きさ」「色」「傷がないか」だと思います。
そんなりんごについて今日は少しお話したいなと思います。
一つのりんごが出来るまで
青森のりんごの生産量は全国の約半分60%の生産量を誇ります。
なので弘前近辺のあちらこちらにりんご畑があります。
品種も色々ですがすでに訪れた時期(10月初旬)では早生(わせ)種と呼ばれる品種は摘み取りが開始されていましたが、それでも町中りんごでいっぱいです。
そして今、樹に実がなっているのはほとんどがフジです。
ただ上の写真はフジではありません。(珍しくて撮りました)
フジは縦に線が細く入っている。↓これです。
もっとも市場に流通している品種ですね。青森でも50%はふじです。
このりんごが一つの樹にどれくらいなると思いますか?
こんなにものりんごの実が一つの樹になるんですΣ੧(❛□❛✿)
びっくりでした。
「鈴なり」という言葉はこのことを言うんだと実感しました。
みうらあやこさんの「まっかな木」と言う絵本があって、何かの機械で大人になって読んだことがあって、その時その木がりんごの樹何ですけど、正直絵本だからりんごの実の数は盛られて描かれているんだと思い込んでいました。
だけど違うのです。
本当にあの絵本に描かれた樹のようにまっかなりんごの実が鈴なりに実をつけているのです。
そしてそんなりんごの樹が町中にあるんです。
よく特産とか言う言葉を聞きますが青森のりんごが特産品であると言うのは本当だなと思いました。
ちなみに、青森のりんごは約45万トンの年間生産量です。全国的には77万トンなので青森がダントツ1位の生産量です。
それだけりんごの樹も多いと言うことです。
ただ年々高齢化により生産量は落ちています。
一つ一つの樹から一つ一つ実をとるんです。途方もない量です。
剪定から実がなるまでの手入れも大変で、若い方はやりたがらないし、高齢になるにつれてより大変な作業にだそうで、それは目の前の農園の広さと樹の大きさ、実多さに納得でした。
わいか栽培と言われる栽培しやすい樹の改良はされていますが良し悪しがあるようです。下の写真がわいか栽培と呼ばれる樹です。
大きく横に広がらずに高さもそれほど高くならないような品種改良がされているそうです。比較的作業がしやすく面積当たりではたくさん植えられるので収穫量も変わらないそうです。
しかしその分樹の数は農園当たり増えますし、そもそもこの樹に植え替えた場合しばらく収穫は見込めません。
また樹の寿命も短いようでいい面もあればそうでない面もあるとのことです。
りんご農家の方とお話してきました。
青森県のりんご作りは、1年を通してほとんど手作業で行われます。
まず、整枝・せん定です。
1月から3月の間に夏から収穫にかけて日光の当たり方などを考えて樹の枝ぶりを整えます。
難しいのが一年目で伸びた枝には実は付かない。(ついても小さい)実がなるのは3年目、4年目以降の枝。
そしてそれらが実がなった時に日光の当たり具合がどうなるかを考えて剪定するのです。
しかも雪深い中です。
樹も埋まるのでは?と訪ねると埋まるくらい積もるそうですが、樹が生きている(温かい)ので樹は凍らないそうです。
他にも花を咲いた時に受粉作業や、実を大きくするための摘果と呼ばれる作業もあります。
そして今の時期は「実まわし」と言う作業をされていました。
これはりんごを全体に赤くするための作業です。
枝で影になるところは赤くならず黄色のまま、それを一つ一つ実が落ちない程度にちょっとだけ回転させるのです。
それも一つ一つ。
「赤くなる方が美味しくなるのですか?」
「色のよしあしと大きさ、傷の有無で等級が決まるからです」
「味は変わりません」
等級によってりんごの価格が変わるので農家さんにとっては大事なこと。
私たちは「品質」を履き違えている場面もあるかも知れません。
美しいことだけが品質が高いと言うことではないのです。
物事の本質を見抜く力がなくなるとはこのようなことなのだと思いました。
だって、枝で影になって色づきが悪い部分があってもそのりんご自体の味は変わらない。
そして傷物のりんごについて言えば、風が吹けばりんごとりんご、りんごと枝で擦れてすぐに傷になるそうです。
それだけでもう価値がぐんと下がる。ジュースなどにするためのりんごとなり価格は半分も行かないそうです。
ちょっとした風で樹は揺れて、りんごに傷がつく。
農家の方々は台風などが来ると気が気でないそうです。
りんごの作業は、一般的には10アール(1,000㎡)当たりで約223時間もの時間がかかると言われており、いかに一つのりんごが出来るまで農家の方の労力がかかった一個であるかを身にしみて感じさせれました。
りんごはコモディティーの高い商品です。
スーパーにあって当たり前、適度な値段で当たり前。
そして年中りんごが店頭に並ぶのはCA倉庫と呼ばれるりんごを鮮度よく保管しておく倉庫があるおかげ。
いろんな労力と工夫の中で「りんご」は私達に提供されているのです。
今回の旅を通じて農家の皆様に、そして全ての働く人達にもそれぞれ作り手、提供側の思いがあるのだなと感じた旅でした。
他の農作物も何だって大なり小なり同じだと思います。
「感謝」と言う言葉の意味を深く心に感じた出会いでした。
少しでもこの思いが誰かに届き、何かの「気づき」になればと思います。
本日もお読み頂きましてありがとうございました。