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リスキリングとアップスキリング――変化の時代を生き抜くキャリア戦略

 

キャリアコンサルタント技能士1級 工場長が実体験から語る「学び直し」の本質


はじめに

「リスキリング」「アップスキリング」――ここ数年で急速に普及したこの言葉を、皆さんはどう受け止めていますか?

「なんとなく大事そうだ」と感じながらも、自分ごととして捉えられていない方も多いのではないでしょうか。

私はキャリアコンサルタント技能士1級として、そして総務課から工場長へという異色のキャリアを歩んだ実践者として、この二つの「学び」がいかに人とチームの可能性を広げるか、身をもって経験してきました。

今回は、その体験を交えながら、リスキリングとアップスキリングの意味と重要性を整理したいと思います。


リスキリングとアップスキリングとは何か

まず、言葉の整理から始めましょう。

アップスキリング(Upskilling)とは、現在の仕事や役割に関連する既存スキルを深め、強化する学びです。今の自分の延長線上でより高い専門性を身につけること、と言い換えてもよいでしょう。

リスキリング(Reskilling)とは、まったく新しい分野のスキルを習得する学びです。従来の業務では必要とされなかった知識・技術を一から身につけ、新たな役割に対応することを指します。

どちらも「学び直し」という点では共通していますが、その方向性は大きく異なります。

  アップスキリング リスキリング
目的 現在のスキルを深める 新しいスキルを獲得する
対象 既存の業務・役割 新しい業務・役割
イメージ 縦に掘り下げる 横に広げる

私のアップスキリング体験――総務課時代の「深掘り」

総務課に在籍していた頃、私は中小企業の総務担当として業務に必要なスキルを積み上げることに集中していました。

取得した資格・学びは以下のようなものです。

  • 産業カウンセラー ── 社員の心理的サポートとメンタル相談対応のために
  • キャリアコンサルタント技能士2級 ── キャリア支援の専門知識を体系的に習得
  • メンタルヘルス検定 ── 職場のメンタルヘルスマネジメントを担うために
  • 知的財産検定 ── 中小企業が見落としがちな知財リスクへの対応として

これらはすべて「総務として、もっとよい仕事をするために必要だ」という現場感覚から選んだものです。どれも既存の役割を強化し、より深い専門性を発揮するためのアップスキリングでした。

資格を「取ること」が目的ではなく、現場で実際に活かすことを前提に学んだことで、学びが仕事に直結し、組織への貢献として可視化されていきました。


私のリスキリング体験――工場長就任という転機

そして転機が訪れます。

スタッフ部門(総務)から、ライン部門(製造現場)へ。工場長への任命でした。

総務の知識とは全く異なる分野が次々と問われました。

  • 生産性管理・工程管理の考え方
  • ユーティリティ(電気・空調・水道)の仕組みと管理
  • 設備の基本構造とメンテナンスの概念
  • 現場マネジメントのリアルな課題

これはもはやアップスキリングではありません。「ゼロから新しい領域に踏み込む」という意味で、まさにリスキリングでした。

慣れない現場で、今まで見たこともないような課題に日々向き合う。それは容易ではありませんでしたが、同時に非常に刺激的でもありました。


「過去の学び」は決して無駄にならない

ここで重要なのは、リスキリングが「過去を捨てる」ことではないという点です。

私が工場長として取り組んだのは、総務時代に身につけたコーチングとキャリアコンサルティングのスキルを、製造現場に持ち込むことでした。

現場スタッフのモチベーションを引き出す傾聴と対話。 目標設定と振り返りを繰り返す1on1の関わり。 一人ひとりの強みを活かした役割分担。

これらは製造の「技術」ではありませんが、チームの生産性に直結するものでした。アップスキリングとリスキリングが統合されたとき、予想を超えるシナジーが生まれたのです。

「今まで培ったスキルがある。だから新しい領域でも戦える。」

この確信が、学び続ける原動力になりました。


キャリアコンサルタントとして感じる「学びの変化」

現場の経験を経て、キャリアコンサルタント技能士1級としての視点も深まりました。

クライエントと向き合うときの視点もここでさらにブラッシュアップされたと思います。だからこそなのか、工場長をして3年目にキャリアコンサルタント技能士1級を受けようと思い立ちました。

不思議といける気しかしなかった。

多くの方がリスキリングを前にして感じる「自分には無理かもしれない」という不安。これは、新しい環境への適応不安であって、能力の限界ではありません。

アップスキリングで積み上げてきた土台があれば、リスキリングは「ゼロからのスタート」にはならない。必ず接続点があるはずです。

そしてリスキリングを経た先に新しいアップスキリングがある。


まとめ――「学び」は人生のポートフォリオ

リスキリングとアップスキリングは、対立するものではありません。

どちらも「変化し続ける社会と、変化し続ける自分のキャリアに対応するための手段」です。

私自身の歩みを振り返ると、アップスキリングが土台をつくり、リスキリングが視野を広げ、そして両者が統合されて初めて「自分らしいキャリア」が形になりました。

あなたの「今の学び」は、アップスキリングですか?リスキリングですか?

どちらであれ、その学びはあなたの未来への投資です。ぜひ、意図を持って、前向きに学び続けてください。