―― 無意識に借りている言葉の話 ――
「頑張ります」
「ちゃんとやります」
「成長したいです」
私たちは、日常の中でこうした言葉を当たり前のように使っています。
仕事でも、家庭でも、自己紹介でも、目標を書くときでも。
けれど、ふと立ち止まって考えてみると、
その言葉を使っているとき、
心のどこかに小さな違和感が残ることがあります。
言葉としては前向きなのに、
なぜか力が湧いてこない。
口にした瞬間から、少しだけ重たくなる。

この違和感の正体は、
「言葉が足りないから」でも
「覚悟が足りないから」でもありません。
多くの場合、
その言葉が、本当に自分のものになっていない
ただ、それだけなのです。
私たちは成長する過程で、
たくさんの言葉を身につけてきました。
評価されやすい言葉。
大人として正しそうな言葉。
頑張っているように見える言葉。
それらは、社会の中で生きるために
とても役に立ってきた言葉でもあります。
けれど同時に、
その言葉が「借り物」のままになっていることも少なくありません。
本当はまだ、
その言葉が示す方向へ行きたいかどうか、
自分の中で確かめきれていないのに、
先に言葉だけが口をついて出てくる。
すると、何が起きるか。
言葉は前に進もうとしているのに、
感情はそこについていかない。
そのズレは、
やる気の低下として現れたり、
行動が続かない感覚として現れたり、
ときには「自分はダメだ」という自己否定として現れます。
でもこれは、
意志が弱いからではありません。
言葉が、今の自分より少し先に行きすぎている
だけなのです。
ハッピーライフレインボーの対話の中で、
こんな場面によく出会います。
言葉としては立派なことを言っている。
でも、その言葉を口にした瞬間、
表情が少し硬くなる。
声のトーンが下がる。
そのとき、
私はその言葉を深掘りするよりも、
「その言葉を言ったとき、どんな感じがしますか?」
と尋ねます。
すると多くの場合、
「うーん…」
「ちょっと重たいです」
そんな反応が返ってきます。
これは、
「間違ったことを言っている」わけではありません。
ただ、
その言葉が
まだ“本当になりたい自分の言葉”にはなっていない
というサインなのです。
私たちは、
「正しい言葉」や「良さそうな言葉」を
早く自分のものにしようとしがちです。
でも、言葉には順番があります。
感覚が先。
感情が先。
そのあとに、言葉が追いついてくる。
この順番が逆になると、
言葉は途端に重たくなります。
ハッピーライフレインボーでは
クライアントがお持ちででも自分では自覚していない大切な言葉を紡ぎます。
シートが出来上がった時虹が架かるのは、
このプロセスを大切にしているからです。
最初から完成された言葉を置くのではなく、
対話の中で、
少しずつ色味が変わっていく言葉を見守る。
昨日はしっくりこなかった言葉が、
今日は少しだけ馴染む。
ある日ふと、
「あ、今ならこの言葉がしっくりとくる」
と感じる瞬間が訪れる。
それが、
言葉が「自分のものになる」という感覚です。
もし今、
使っている言葉に違和感があるとしたら、
それは変わるチャンスでもあります。
無理に言い換える必要はありません。
無理に前向きな言葉にする必要もありません。
ただ、
その言葉を使ったときの
自分の内側の反応を、
少しだけ丁寧に感じてみてください。
今日、お伝えたいのは、
「いい言葉を使おう」ということではありません。
今の自分に合った言葉から始めよう
ということです。
言葉が変われば、人生が変わる。
それは確かに一面の真実です。
でもそれは、
言葉で自分を引っ張ることではなく、
感覚に寄り添いながら
言葉が追いついてくるプロセスの先にあります。
焦らず、
言葉を飾らず、
今の感覚から始める。
ハッピーライフレインボーは、そのための対話の時間です。
今回も、お読みいただきありがとうございました。