キャリアコンサルタントとして活動していると、支援の幅を広げるために「どんな社会的ネットワークを持つか」がとても大切になります。
その中のひとつとして、ぜひ知っておきたいのが「厚生労働省委託事業 キャリア形成・リスキリング推進事業」です。
この事業では、全国の支援センターでキャリア相談やリスキリングに関するセミナーが無料で受けられるなど、個人・企業ともに利用できる仕組みが整っています。
キャリアコンサルタントとしてクライアントに紹介したり、自分自身のネットワークとして関わることで、支援の可能性をぐっと広げられる制度なんです。

無料で使える、公的なキャリア支援ネットワーク
「キャリア形成・リスキリング推進事業」は、厚生労働省が委託して運営している公的なキャリア支援ネットワーク。
個人・企業・学校など、幅広い対象に向けて“生涯を通じたキャリア形成と能力開発”を支援することを目的としています。
全国47都道府県には「キャリア形成・リスキリング支援センター」が設置され、
キャリアコンサルティングやジョブ・カード作成支援、リスキリング関連のセミナーなどを無料で利用できます。
個人にとっては、「これからのキャリアをどう描くか」「どんなスキルを学び直すか」を考えるきっかけに。
企業にとっては、社員のキャリア形成や社内キャリアドック制度の導入を支援する仕組みとしても活用可能です。
さらに詳しい制度の目的や背景は、
厚生労働省:キャリア形成支援ページ
にも掲載されています。
最近のセミナー、地域によって調べられます。
制度のサイトをのぞいてみると、個人向けにはいろいろな無料セミナーが開催されています。内容を見てみると、「自己理解」や「キャリアプラン作成」などのほかに、「リスキリング」「両立支援」「資産形成」など、様々です。
つまり、働く人が自分の強みや方向性を見つけ、新しい学びを通じて社会とつながり直すための支援が充実しています。
地域によって開催イベント数は違いますが、オンラインなら他の地域のセミナーも空席があれば受けられるかも知れません。(すみません、聞いてはいません)
キャリコンが活かすと、制度はもっと“生きたネットワーク”になる
この制度を活用するうえでのポイントは、
「クライアントの行動を支える入口」として使うこと。
たとえば、
「自分に何ができるかわからない」
「学び直したいけど、何から始めていいかわからない」
そんな方に、まずこの無料支援を紹介してあげる。
キャリアコンサルティングやジョブ・カード支援を通して“整理”をしてもらい、
その上で自分のセッションで“深掘り”をしていく。
制度とコーチングの二段構えにすることで、支援の幅はぐっと広がります。
また、企業支援でも使えます。
「社員のキャリア支援をしたいけれど、予算が限られている」
そんな中小企業に対して、この公的制度を紹介することで導入のハードルを下げられます。
地域センターと連携すれば、共同セミナーや情報交換のチャンスも生まれます。
制度を“使う”のではなく、“つなぐ”。
それがキャリコンのネットワーク構築の視点です。
制度を伝えることは、希望を響かせること
制度はあくまで「器」にすぎません。
大切なのは、その器を通してどんな対話を生み出すか。
キャリア形成・リスキリング推進事業を通してクライアントと出会うとき、
そこには「もう一度、自分を信じてみたい」という小さな希望があります。
その希望を言葉に変えていくことこそ、キャリア支援の原点ではないでしょうか。
私たちができるのは、情報を伝えることだけではありません。
相手の中にある“変わりたい気持ち”に寄り添い、
その人の人生にふさわしい学びや制度をつないでいくこと。
どんなに仕組みが整っても、
心に響く言葉がなければ、行動は生まれません。
だからこそ、制度を活かすとは――
“伝える”ことではなく、“響かせる”こと。
キャリアコンサルタントの言葉には、その力があると信じています。
🌈 参考リンクまとめ