勉強日記も第5回になりました。
これまで「システマティックアプローチ」「パーソンセンタード」「ナラティブ」「課題中心」と整理してきましたが、今回は中長期的な支援の要である「発達的アプローチ」についてまとめます。
論述試験でも実務でも、短期課題だけでなく「発達課題=キャリアの長い視点」に着目することが求められると思いますので、今日はそこを掘り下げていきます。
1. 発達的アプローチとは?
発達的アプローチとは、相談者の発達段階やキャリア成熟度に応じた支援を行う方法です。
特徴は次の3点:
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キャリアを「時間軸の中での発達」としてとらえること
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中長期的な成長や自己理解を支援すること
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発達課題を整理し、次の段階に進む力を引き出すこと
キャリアコンサルティングでは、目先の転職や昇進といった「短期の課題」だけでなく、人生のどの段階にいるのかを理解することが不可欠です。
2. 理論的背景
発達的アプローチの基盤には、複数の理論があります。
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スーパーのライフスパン・ライフスペース理論
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発達段階(成長期・探索期・確立期・維持期・下降期)
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キャリア成熟度
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親・職業人・家庭人などライフロールの統合
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エリクソンの発達課題
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青年期:アイデンティティの確立
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成人期:親密性や生成性(次世代育成や社会貢献)
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中年期の「生成性 vs 停滞」は40代・50代相談者の典型課題
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レビンソンのライフサイクル論(必要に応じて言及可能)
論述で「スーパー」「エリクソン」と理論名を理解していることで答案の説得力がぐっと増します気がする。
3. 論述試験での使いどころ
論述答案では「短期課題」と「中長期課題」を切り分けて書くのが良いかなと。
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短期課題=課題中心アプローチ
例:履歴書作成、昇進試験対策、面接準備 -
中長期課題=発達的アプローチ
例:キャリア観の整理、ライフロールの統合、自己概念の発達
こう整理することで、「現実的な支援」と「理論的な支援」をバランスよく答案に示すことができます。
4. ケースで考える
相談者の概要
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42歳男性、製造業勤務
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新卒から20年勤務し、現在は昇進候補に挙がっている
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「自分に管理職は務まるのか」「家庭の責任も重い、このまま続けてよいのか」と揺れている
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子どもは中学生、教育費もかさみ、将来への不安が強まっている
事例相談者の対応
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「経験があるから大丈夫」と励まし、自己PRの整理を提案
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次回アポイントを約束するが、相談者は現れなかった
支援の方向性
短期課題(課題中心アプローチ)
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昇進試験準備、自己PR整理、面接対策など即効性のある支援
中長期課題(発達的アプローチ)
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エリクソンの中年期の発達課題(生成性 vs 停滞)に着目
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スーパーのライフスパン理論をもとにライフロールの整理を支援
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自己概念を再構築し、「この先どう生きたいか」を相談者自身が描けるよう伴走
【コラム:会話例で考える誤り】
相談者:「昇進の話をもらっているのですが、自分に務まるのか不安で…。家庭の責任も重く、このまま続けていいのか迷っています。」
事例相談者:「20年も同じ会社で経験を積まれているんですから、大丈夫ですよ!きっと管理職もやっていけます。」
相談者:「そう…ですかね…。ありがとうございます。」(曖昧な表情)
事例相談者:「では次回、管理職試験の準備について一緒に考えていきましょう。」
→ しかし、次回面談には現れなかった。
分析ポイント
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誤り:賞賛・励ましによる「評価的態度」にとどまった
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欠如:不安の受容、発達課題への着目
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結果:信頼関係が浅く、継続的な支援につながらなかった
5. 論述答案での表現例
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「事例相談者は賞賛的態度に偏り、クライエントの不安を十分に受容・共感できなかった。そのため信頼関係が不十分であった」
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「中年期の発達課題(生成性)やライフロールに着目し、キャリア発達の視点から支援を行う必要がある」
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「短期的には課題中心アプローチで昇進準備を支援し、中長期的には発達的アプローチを用いてキャリア観の整理を行う必要がある」
6. 実務での注意点
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発達的アプローチは「長期的な成長視点」だが、短期課題に偏ると相談者の不安に応えきれない
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課題中心と発達的をバランスよく使うことで、相談者は「今できること」と「将来の方向性」の両方を得られる
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継続的支援につなげるには、まず不安の受容と共感を外さないことが大前提
今日の気づき(勉強ノート)
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発達的アプローチは論述試験の必須要素
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「短期課題=課題中心」「中長期課題=発達的」の整理で答案が分かりやすくなる
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スーパーやエリクソンの理論を1文でも入れると説得力が増す
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実務でも相談者の「発達課題」を意識することで、単なる目先支援に終わらない厚みが出せる
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!