勉強日記も3回目になりました。
前回はキャリアコンサルティング技能士1級試験における基本姿勢のひとつ「パーソンセンタードアプローチ」を整理しました。
相談者を受容し、共感的に理解し、自己一致した態度で関わることは、信頼関係を築くうえで欠かせない要素です。
そして論述を読んでいて事例相談者と相談者のズレで次に多いなと気になるのが世界観です。それぞれがそれぞれの経験や認知で物事を見ているので仕方ないですが、それがキャリアコンサルティングを進めていく上で課題となっている場面は多いなと感じます。
そこで今回はその流れを受けて、ナラティブアプローチについて深堀してみたいなと思います。
相談者の「語り」に注目するこのアプローチは、試験対策だけでなく実務においても役立つ場面が多いかもしれません。

1. ナラティブアプローチとは?
「ナラティブ」とは「物語」「語り」という意味です。
人は出来事そのものよりも、それをどう語るか=どんな物語として自分の中で解釈しているかで、自己理解や行動が変わります。
禅の言葉にも「主人公」というのがあります。まさに人は皆、自分の人生においてそれぞれが主人公です。
ただ、ヒーローとは限りません。自分をどの立場において人生を生きるかもそれぞれのナラティブなのです。
ナラティブアプローチは、この「語り」に着目し、相談者が自分の経験を再構成するのを支援するアプローチです。
過去の出来事や体験を新しい文脈で語り直すことで、自己理解を深めたり、新たな可能性を見出したりできるようになります。
2. 基本的な考え方
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人は「語り」を通じて、自分や世界を理解している
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語りが固定化すると「自分はこういう人間だ」という思い込みにつながる
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支援者は「その人の語りを丁寧に聴き、新しい意味づけを一緒に探していく」存在
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相談者が新しい物語を描けるようにサポートすることで、自己効力感や行動意欲が高まる
3. キャリアコンサルティングでの活かし方
ナラティブアプローチは特に中期段階(状況整理・自己理解)で活きます。
例えば…
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相談者が「自分は失敗ばかり」と語るとき、その背景にある成功体験や努力の意味を一緒に再構成する
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「転職を繰り返してきたからダメだ」という語りを、「合う環境を模索し続けてきた挑戦」と捉え直す
こうした「物語の書き換え」によって、相談者は新しい自己イメージを得られ、次の行動へつなげやすくなります。
4. 論述試験での使い方
論述答案では、ナラティブアプローチを単独で出すというよりも、システマティックアプローチで課題を整理した上で、ナラティブで意味づけを補強する形が有効ではないかと考えます。
答案に盛り込めそうな表現は例えばこんな感じ:
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「相談者の語りを丁寧に傾聴し、ナラティブアプローチを用いて経験の意味づけを再構成する」
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「相談者自身の物語を言語化することで、自己理解を深め、キャリア選択の方向性を見出す」
こう書くと「支援の流れが見える答案」になるように思います。
5. 事例ケースで考えてみる
例:40代男性、転職を繰り返してきて「自分は続かない人間だ」と思い込んでいるケース。
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本人の語り:「また辞めてしまった。自分は根気がない」
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ナラティブでの再構成:「状況に合わない職場を見極める力があった」「より良い環境を探し続けてきた挑戦の歴史」
支援者が「事実の見方を変える視点」を提示することで、相談者は「自分には環境を選ぶ力がある」という新しいストーリーを持つことができます。
その新しい物語が、自己効力感の回復や次の行動につながっていきます。
6. 実務での注意点
ナラティブアプローチを使うときに大事なのは、「支援者が新しい物語を押しつけない」ことです。
ここを結構論述問題を見るとやってしまっている。
言い換えればここを注目すれば回答の一つが出てきそうだなということです。
キャリアコンサルタントとしては相談者自身が自分の語りを再構成していくプロセスを尊重し、伴走者として寄り添う姿勢が求められます。
その意味では、前回のパーソンセンタードアプローチ(受容・共感・自己一致)が基盤になっているとも言えます。
結構良かれと思って「言い換え」を私も要約の時にしてしまいます。相談者が「そうそう、そうなんです」という言い換えは気持ちがいいですが、ナラティブに関わる部分での言い換えは相手も最初その世界観にないので「そうか!!」とはなりにくい。
下手するとそれに気づかせてあげるのがキャリコンの仕事だと思っていると、指示的であったり、傾聴ができていない状態になりかねません。
日常で結構見かける光景です。
「なんでそんなふうに考えるの?」「そんなふうに考えるからうまくいかないんだよ。」
それはこちらの世界観ですからね。
今日の気づき(勉強ノート)
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ナラティブは「出来事」より「語り=意味づけ」に焦点を当てる
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答案では「語り」「意味づけ」「再構成」というキーワードを盛り込むと効果的
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実務では「物語を変える」のではなく「相談者自身が新しい語りを見つけるのを支援する」姿勢が大切
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システマティックアプローチと組み合わせると、答案が構造的かつ深みのあるものになる
次回予告
次は、ソリューション・フォーカスト・アプローチ(解決志向)について整理してみたいと思います。
未来に目を向け、具体的な行動をどう促すか――論述答案にも実務にも直結する視点を深掘りします。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!