今日はキャリアコンサルティング技能士1級試験の勉強日記、2回目です。
前回は「システマティックアプローチ」について整理しました。システマティックアプローチは論述答案の骨格をつくる役割を持っていて、相談者の課題を「本人要因・環境要因・発達課題」の3つの視点から構造的に整理できる、とても重要な考え方です。これは論述試験だけでなく実技試験にも直結する力だと感じています。
今日はその土台の上に、複数のアプローチをどう重ねていくかを考えてみます。

1. よく使われるアプローチの整理
まずは代表的なアプローチを簡単にまとめました。
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パーソンセンタード・アプローチ
ロジャーズ理論に基づき、受容・共感・自己一致を大切にする。
初期段階で相談者が安心して語れる場をつくるために欠かせない。 -
ディベロップメンタル・アプローチ(発達的アプローチ)
発達段階やキャリア成熟度を見立て、中長期的な成長を支援する。
スーパーやエリクソンの理論と相性が良い。 -
ナラティブ・アプローチ
相談者の「語り」からストーリーを再構成し、意味づけを促す。
経験をどう理解し直すかに焦点を当てる。 -
ソリューション・フォーカスト・アプローチ(解決志向)
問題よりも「望ましい未来像」に焦点を当て、小さな一歩を促す。 -
課題中心アプローチ
目の前の課題に集中し、短期的に実務的な支援を行う。
履歴書作成や面接対策など、すぐに成果が必要な場面に有効。
2. 複数アプローチの組み合わせ方
論述では「このケースならこのアプローチ1つ!」と単発で書くよりも、システマティック+αで展開した方がリアルで説得力があると感じます。
特に過去問を読むと、事例相談者(キャリコン)が「無条件の肯定的配慮・共感的理解・自己一致」といった基本態度をきちんと示せておらず、関係構築の部分でつまずいているケースが多いのが分かります。
つまり、初期段階の関係構築で失敗しているんです。
では、事例相談者は何を間違えているのでしょうか?
その前に、パーソンセンタード・アプローチをもう少し深掘りしてみます。
3. パーソンセンタード・アプローチを深掘り
基本的な考え方
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相談者は自らの中に成長や自己解決の力を持っている
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安心して自己表現できる環境があれば、その力は自然に発揮される
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相談者と対等な関係を築き、尊重しながら支援することが大切
3つの基本条件(ロジャーズ)
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受容(無条件の肯定的関心)
相手を批判せず、そのままの存在を受け入れる。
「あなたはそのままで価値がある」というメッセージを態度で示す。 -
共感的理解
相手の立場に立って、気持ちや考えを理解する。
「その気持ちに寄り添っています」と伝えることが重要。 -
自己一致(真実性)
コンサルタント自身も偽らず、誠実でいる。
「役割としての自分」ではなく「一人の人間」として関わる。
実務・試験での活かし方
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初期段階(ラポール形成)で最も重要
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「この人になら話していい」と思ってもらえないと、その後の整理や分析は機能しない
4. 「賞賛」と「承認」は違う
ここでよく混同してしまうのが「賞賛」と「承認」です。
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賞賛:
「すごい!」「えらいですね!」「よく頑張りましたね!」など、成果や行為を評価すること。
評価基準が支援者側にあるため、相談者が「評価される/されない」を気にして自己開示が制限されるリスクがある。 -
承認:
相談者の存在や感情、努力をそのまま受けとめること。
「そう感じたんですね」「その状況でも努力を続けてこられたんですね」といった言葉が典型。
評価ではなく「事実と気持ちを受けとめる」スタンスなので、相談者は安心して自己理解を深められる。
ミスしやすい場面
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成果や努力を聞いたときについ「すごいですね!」と賞賛してしまう
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共感のつもりが「評価」を混ぜてしまう
例:
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賞賛:「そんなに努力できるなんて偉いですね」
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承認:「その状況でも努力を続けてこられたんですね」
5. 論述試験でのポイント
過去問の事例相談者は「共感的理解を示している」と言いながら、実は賞賛=評価的態度になっているケースが目立ちます。
これは特に「コーチング経験のある人」がキャリコンの試験に臨むときに陥りやすいのかもしれません。
キャリアコンサルタントは、カウンセリングの流れを汲む立場です。
意識すべきは常に「承認」と「共感」。
答案では例えばこう書けるのではないかと思います。
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「初期段階で受容・共感的理解を示しながら信頼関係を構築することが不足していた」
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「相談者が安心して語れるよう、自己一致した態度で傾聴することが求められる」
今日の気づき(勉強ノート)
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複数アプローチを組み合わせると答案に深みが出る
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特に「システマティック+もう1つ」が基本パターン
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初期・中期・後期の段階ごとにアプローチを整理すると書きやすそう
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実務で当たり前にやっていることも、試験では「意識的に言語化」する必要がある
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関係構築は基本の「き」だけれど、多くの事例相談者はここでボタンを掛け違えている
次はナラティブアプローチについて整理してみようと思います。
相談者の“語り”をどう活かすかを考えていきます。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
ちなみにキャリこんを勉強する上でとても参考になる書籍としてお勧めしたいのがこれです。少し古いですが、とても参考になると感じています。
ぜひキャリコンの基本を身につけたいと思われる方は読んでみてください。