未来につながる『今』をもっと楽しく。

人生は今の連続、「今」の捉え方、行動が変われば未来は変わる。 そんな「気づき」になれる雑記ブログを書いています。

なぜ私たちは同じ状態に戻ってしまうのか?

意志力の科学から読み解く変化の難しさ

「やる気に火がついたのに、気づいたらいつもの自分に戻っている」
「今度こそ変わる!と思っても、三日坊主になってしまう」
「強い意志を持てる人がうらやましい。自分はなんて意思が弱いんだろう」

そんな風に、自分の意志の弱さにがっかりしたことはありませんか?
頑張りたいのに続かない。わかっているのに変われない。
まるで目に見えないゴムのような力が、自分を“元の自分”へと引き戻しているように感じること。

この「戻ってしまう力」の正体はいったい何なのか。
そして、どうすればそれを乗り越えられるのか。

今回は、アメリカの心理学者ロイ・バウマイスターが提唱する「意志力の科学」に注目し、「意志は弱いのか?それとも、別の問題なのか?」を明らかにしていきます。


意志力は「有限なリソース」

バウマイスターによれば、意志力とは「筋肉のようなもの」だといいます。
つまり、一度使えば消耗し、休ませれば回復する――。

この理論は「エゴ・ディプリーション(自我消耗)」と呼ばれています。
たとえば、朝はやる気があるのに、夕方には誘惑に負けてしまうのは、日中の意思決定や感情のコントロールに意志力を使い果たしているから。

「私は意志が弱いのではなく、すでにたくさん使っていたんだ」
そう考えるだけでも、自分を責める気持ちは少し和らぎます。


選択の数だけ、意志力はすり減る

意志力を消耗させるもう一つの原因が「選択の多さ」です。
現代人は1日に3万回以上の意思決定をしていると言われています。
朝の服選び、食事のメニュー、SNSの投稿、仕事での判断……

小さな選択の積み重ねが、意志力をじわじわと削っていく。
そして脳は疲れたとき、“一番楽で慣れた行動”を選びます。
つまり、変わろうとした意志ではなく、慣れたパターンに引き戻されるのです。


なぜ「変われない」のではなく「戻ってしまう」のか?

ここがポイントです。

変化が難しいのは、意志がないからでも、意思が弱いからでもなく、
「戻ろうとする脳の働き」がとても強力だから

この働きは、「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」と呼ばれるものです。

私たちの脳や身体には、体温や心拍数、血糖値を一定に保つように、心理状態や行動パターンも“いつもの状態”に戻そうとする本能的な力が備わっています。
これにより、急激な変化やストレスから身を守ることができているのです。

加えて、私たちは誰しも「コンフォートゾーン(安心領域)」と呼ばれる居心地のいい心理的なスペースを持っています。
そこでは不安もリスクも少なく、脳にとっては“快適で安全な場所”。

変化とは、言い換えれば「このコンフォートゾーンを出ること」。
脳はそれを“未知”として警戒し、強い力で慣れ親しんだ元の状態に引き戻そうとするのです。

つまり、「戻ってしまう」ことは、あなたの意志が弱いからではなく、
脳があなたの安全を守ろうとしている自然な反応だと言えるのです。


意志力に頼らず、変化を続けるためのヒント

①「決める」を減らす:習慣化の力

毎日「やるかどうか」を迷っていては、意志力はすぐに尽きます。
朝の歯磨きのように、トリガー(きっかけ)に結びついたルーティンにしていくことで、意志力を節約できます。

例:朝のコーヒーを入れる→5分だけストレッチ
例:家に帰ったら→靴を脱ぐ→そのまま5分片付けタイム

② 意志力の“回復と温存”を意識する

・大事な決断は朝にまわす
・SNSや無駄な選択を減らす
・十分な睡眠と栄養で脳をサポートする

こうした環境設計が、**「意志力が必要なときに発揮できる自分」**をつくります。

③「小さな自己制御」で筋トレする

いきなり大きく変わろうとせず、「今日は水を1杯多く飲む」「5分だけ歩く」など、小さな成功体験を毎日積み重ねていきましょう。

意志力は、使えば減るが、積み重ねれば“太くなる”ものです。


意志力よりも大切なのは、「意図」

意志力だけに頼ると、消耗して終わってしまう。
でも、「なぜ自分はこれをやりたいのか」「どんな人生を生きたいのか」という意図=目的の力があれば、人は驚くほど粘り強くなれます。

意図が明確であるほど、意志の炎は消えにくい。
だからこそ、行動を始める前に、“意図”を言葉にしておくことが大切なのです。


最後に|「戻ること」には意味がある

戻ってしまう自分を責めないでください。
それは、あなたの意思が弱いのではなく、人間らしい自然な反応です。
そして、「戻ってもまた進む」という選択を繰り返すことで、やがて本当に「変わった自分」が定着していきます。

本日もお読み頂きありがとうございました。

📣 自分を変えたい人へ、変わる力を「設計」しませんか?

変わりたいのに戻ってしまう。

その繰り返しから抜け出すには、意志力だけではなく、構造と対話のサポートが必要です。

「自分では見えなかった意図」に光を当て、無理なく進める設計づくりを、コーチングでご一緒します。