「今」とは何か?──私たちが認識している“現在”はすでに過去
私たちが「今」と感じている瞬間は、本当に“今”なのでしょうか?
実は、私たちが「今」と認識している感覚は、ほんのわずかに遅れて脳内に再生された“記憶”のようなものです。視覚、聴覚、触覚といった五感の情報は、わずかなタイムラグ(数十〜数百ミリ秒)を経て脳に届き、意識として認識されます。
つまり、私たちの“今”は、厳密にはすでに起きた出来事を「今感じている」と脳が構築しているもの。
言い換えれば、「今この瞬間」と思っている感覚も、ほんの少しだけ“過去”に属しているのです。
ここを多くの人が誤解しています。
引き寄せにワクワクしてチャレンジして、失望する人もここをうまく理解できていないからだと私は思っています。
私たちが認識している「今」はすでに過去なんです。
この視点に立つと、「今を変える」とは、すでに確定してしまった情報に手を加えることはできない、という冷静な認識にもつながります。
「今を変える」ことは本当に不可能なのか?
では、今という過去を前にして、私たちはただ受け身でいるしかないのでしょうか?
そうではありません。
たしかに、「起きた出来事」は変えられません。けれど、
出来事に対する“意味づけ”や“感情の取り扱い”は、この瞬間にも変えることができます。
この意味で、「今を変える」とは、「出来事」ではなく、「自分の在り方」「意識のフォーカス」「感情の反応」を変えることを意味します。
今話題のタフティーや昔からある引き寄せなど、東洋哲学に始まり、多くの教えはここを色んな角度から伝えているように思います。
この“在り方の変化”こそが、次の瞬間以降の行動や選択を変え、結果的に未来を変える力となるのです。
感情は過去の反応、でも未来を動かすエネルギーでもある
感情とは、私たちの内側で起こる「反応」です。そしてその多くは、過去の出来事や思考によって引き起こされています。
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誰かの言葉に傷ついた
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昨日の失敗を思い出して落ち込んだ
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将来の不安を想像して今、焦っている
これらはすべて、「今」感じているようでいて、その起源は「過去」にあります。けれど同時に、
ここが非常に重要なのですが…
感情は、これからの未来にどう関わるかを決定づける“現在のエネルギー”でもあるのです。
つまり、感情は「過去の名残」でありながら、「未来の起点」でもあるという、時間をまたぐ架け橋のような存在なのです。
未来を“思考する”のではなく、“感情で感じる”ということ
未来に向かうとき、私たちはつい「考える」ことに頼りがちです。
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どうすれば失敗しないか?
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どの道が効率的か?
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損をしない判断とは?
もちろん、思考も必要です。しかし、それだけでは感情が置き去りにされてしまうことが多いのです。
ここで大切なのは、
「未来に向かって、どんな感情でいたいか?」を意図すること。
たとえば、
「次の打ち合わせは自信をもって臨みたい」
「明日の朝は穏やかに迎えたい」
そんな感情の“予感”を自分でデザインすることで、今この瞬間の感情にも影響を与え、エネルギーを切り替えることができます。
このときに特に有効なのが、「遠い未来」だけでなく「近い未来」へのフォーカスです。
遠い未来ではなく、“近い未来”が感情を動かす
未来を描くとき、「5年後」「10年後」のビジョンももちろん大切ですが、それだけでは心が動きにくいこともあります。
なぜなら、あまりに遠い未来は現実感が乏しく、感情が伴いにくいからです。
むしろ、「今日の午後」「今週末」「次の会議」など、“すぐ先”の未来に対して感情を意識することの方が、感情と意識の変化を起こしやすいのです。
これが、マインドフルネスやセルフコーチングで重視される、
「今ここに在る感情をキャッチしながら、次の一歩をデザインする」
というアプローチです。
感情が変われば、未来が変わる
結局のところ、「未来を変える」というのは、未来を“どう感じながら向かうか”を選び取ることに他なりません。
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不安に満ちたまま未来を迎えるか?
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ワクワクした状態で未来を迎えるか?
これは「何が起こるか」よりも、「どんな在り方で迎えるか」の問題です。そして、その在り方を決定するのが“感情”という内なる羅針盤です。
まとめ:今この瞬間の感情から、未来は始まっている
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「今」とは、すでに過去の出来事の再生である。
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しかし、「今の受け取り方」「感情の扱い方」は変えることができる。
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感情は過去の反応でありながら、未来を動かす起点でもある。
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「どんな感情で未来に向かいたいか?」という問いが、今のエネルギーを変える。
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遠い未来よりも、近い未来をどう感じるかが、行動と感情をつなぐ鍵。
未来は、今日の「感情の選択」から始まります。
だからこそ、「今この瞬間の意識の在り方」に丁寧に目を向けてみましょう。
その小さな選択が、やがて大きな人生の流れを変える一歩になるはずです。
本日もお読み頂きましてありがとうございました。