ナラティブって言葉を最近よく耳にしませんか?
ナラティブって一体何?
この言葉は経営やマーケティングの領域まで考え方が広がりつつあります。
この言葉、きっとこれからたくさんの場所でもっと使われるようになってくると思います。ぜひ知識の一つとして読み流して頂ければと思います。
そんな「ナラティブ」について今回は書いてみたいなと思います。
ナラティブが今注目されています
数年前のことです。
私がカウンセラーの先輩方と勉強会をしている中で、大先輩に「これからこの理論や考え方について勉強しておくべき事は何でしょうか?」
と質問したことがあります。
「その時、諸先輩方が一同に口を揃えて、ナラティブ・アプローチだね」
と言われていたことを思い出します。
ナラティブ??
何ですか?それ
「語り」「物語」のことだよ。
???
その当時は何のことだか私もよく理解できませんでした。
少しは書物を読んでみたものの、当時の書物はまだカウンセリング事例などによるものが多く、経験不足の私には難解でした。
そして月日は流れ、「ナラティブ」が色んな場面で最近注目を浴びつつあります。
最近では経営・ビジネス書として「他者と働く・宇多川元一」が書店でよく見かけますよね。
他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論 (NewsPicksパブリッシング) [ 宇田川 元一 ]
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > ビジネス・経済・就職 > 経営 > 経営戦略・管理
- ショップ: 楽天ブックス
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ナラティブはもともと医療や臨床心理の領域で研究・実践されてきた「ナラティブ・アプローチ」という思想・方法でしたが、最近はそれを経営やマーケティングに取り入れて考えていくという広がりを見せています。
今、きてる!?
ナラティブについてお伝えしたいなと思います。
ナラティブってどんな意味?
さて、ナラティブって何でしょうか。
一言で言えば「物語」です。
物語??
物語といっても起承転結のあるストーリーとは意味合いが違います。
言い換えるとすれば
「個人個人の目線からみた解釈の枠組み」、世界観のことです。
例えば、仕事上で上司と部下がいたとします。
上司は、
『上司である私は部下に対して毅然たる態度で厳しく接しなければならない。
そして部下はそれに素直に従うべきである。』
といった枠組み、ナラティブを持っています。
部下は部下で
『上司は部下の言葉に優しく耳を傾けてくれる人で、その安心感の中で言いたいことを言い合えるのが上司と部下の関係だ。』
という枠組み、ナラティブを持っているとします。
上司からみたナラティブと部下からみたナラティブがあるということです。
私たちは何かを語るとき、気づかないうちにすでにその語ることのベースにすでに物語が形成されていてその物語の役割の中で話をしている。
例えそれが黙って何も語らないということでさえ、それはここでは語らないという物語を演じているということです。
少し前に流行ったティール組織でも書かれていますが、ヒエラルキー型の組織が機能しなくありつつ現代社会において、「ナラティブ」を理解した上でこれからの社会は対話して行かなければいけないのかもしれません。
対話とは「新しい関係性を構築すること」です。
それを本当の意味で理解していない。
この「ナラティブ」を理解できないまま今盛んに取り入れれいる「1on1」などを実行しても機能しません。
返って組織を忖度と対立と抑圧を高めるだけです。
そして最後は「あいつとはわかりあえない」とサジを投げることになるかもしれません。
ナラティブ・アプローチが必要とされる現代
ナラティブは個人の物語なので急に生まれたものではなく、ずっと昔から私たちの考え方に存在はしていました。
今までの社会はそれをほとんど無視できた(してきた)時代でした。
もしかすると逆に、ある程度は自然とこのナラティブ・アプローチができていたのかもしれません。
しかし、現代においてITが進み、人と人の対話が薄くなってきています。
一方的な自分のナラティブの中で物事を進める場面が多くなってきていますし、それでも済む世の中です。
しかしさらにITが進み、「人間とは何か?」、「人間の存在」について考える時、このナラティブが需要になってくると思います。
これからAIが発展しても、人の心を画一的にすることはできないでしょう。
そして、生き物は生き物の温かみを欲する生き物だと思います。
その時、私たちは「対話する力」を身につけておかなければ、いつしか私たちのナラティブの登場人物はいなくなり、
「そして誰もいなくなった」
という寂しい関わりの中で生きていくことになるかもしれませんね。
面倒かもしれません、傷つくかもしれません、だけど、相手のナラティブに興味を持ってその物語を観てみることは大切なのではないでしょうか。
本日もお読み頂きましてありがとうございました。