何度も観ているジブリ作品、特に「千と千尋の神隠し」は大好きな作品です。ストーリーも絵も音楽も繊細でついついハマってしまいます。
どのキャラも個性的。そしてこの物語にはちょっと意地悪なところはありますが、悪いキャラがいないのも素敵。
そして何度も見ているとだんだんと思考がスピンオフしていくんですよね。
色んなキャラの気持ちになって油屋を眺めてしまう。
油屋での暮らし、新入社員が突入する「社会」の縮図そのものに見える。
「手を出すなら終いまでやれ」
ちょっと手助けのつもりだったのに怒られる。社会とは何とも理不尽。
「ありがとうね」って言われると思うよ。
でも自分も「ありがとうございました」のお礼が言えない。
そうなんですよね、そうでした。私も。
「ここで働かせてください!!」
湯屋で働くためのいわば面接で千尋がいうセリフ。
これってとてもシンプルで、最高のPRですよね。
でも今の時代、働きたいと志望しておきながら面接ではっきりと
「ここで働かせてください!!」
なんていう学生はほとんどいません。
協調性があるだの、リーダーシップを発揮しただの、一生懸命の自己PR。
何度も独学の自己分析を繰り返し手に入れた自分の言葉。
でも実はほとんどが逆に個性を殺してしまっているセリフ何ですよね。
実は採用側って
「働かせてください。今は何ができるかわからないけど、ここで働きたいんです」
こんな言葉を待っていたりするんですよね。
働く意思の強さ。
これを伝えるのはとても大事だと思います。
働くことになったものの訳がわからないことばかり。
働きたくて働くのでもなく、働かなければならなくて働き始める。
不安でいっぱい。でももう逃げ場なんてないんだと・・・
油屋の生活はやりたいことでもなく、できることをまずはやる。
順番にルールを覚える。
そして自分なりの成功体験。
湯婆婆の褒めタイミングも上手ですよね。
そうしてだんだんと油屋での暮らしにも慣れていく。
それでも油屋の仕事に夢を持っている訳ではない。
りんも働く理由は
「街にいくために働いている」
千(千尋)も目的は忘れていない。
そう、「ここで働かせてください」は決して、
「この会社の奴隷になります」ではないんですよね。
しっかりと自分の働く目的を持つこと。
そのために仕事を覚えなきゃいけない、そして出世が必要かもしれないけど、それらはあくまで目標。
でも、目的を見失い、目標と混同してしまうと、奴隷のような働き方になってしまうかもしれません。
ここで働かせてください。ここでまだ社会を知らない自分を成長させるために。
そう思えると素敵かもしれませんね。
油屋は日本の会社の映し鏡のよう。そう考えて千と千尋の神隠しを改めて観ているとまた新しい「気づき」に出会うかもしれません。
今回はキャリアコンサルトの目線から千と千尋の神隠しについて考えてみました。
本日もお読み頂きましてありがとうございました。