誰かと会話をしていてよく「ねぇ、聞いてるの?」「つまらなさそうだね」って言われてしまうことがある。自分ではちゃんと相手に向き合って聞いているつもりなのになぜか相手の話を理解できない、話は聞こえているけど正直頭に入ってこない。そんな感覚で人との会話に悩んでいる方、そこまでではないけど、ちょっと当てはまる部分もあるなと感じた方へ今回はVAKモデルについてご紹介したいと思います。
人には色んなタイプがあるんだということを知って頂き、少しでも気持ちを楽にして頂き、またコミュニケーションのヒントになればと思います。
なお、私は専門医ではございません。今回はあくまでVAKモデルのさわりをお伝えするだけですのでその点ご理解下さい。
VAKモデルとは
人にある五感
五感と言う言葉は皆さんも聞いたことがあると思います。
- 視覚:目でものを見る
- 聴覚:耳で聴く
- 触覚:体で感じる
- 嗅覚:匂いをかぐ
- 味覚:口で味わう
このように私たちはこれら5つの感覚センサーを利用して脳に情報をインプットしています。つまり、目や耳などから入ってきた情報をもとに色んなことを理解しているということです。VAKモデルではこの五感を視覚、聴覚、身体感覚の3つに区分して考えるモデルです。
- 視覚はVisual
- 聴覚はAuditory
- 身体感覚はKinesthetic
これら頭文字をとってVAKモデルとしています。なお、嗅覚と味覚は身体感覚に含めて考えます。私たちはこれら感覚システムによってしか、世界を把握することができません。
そしてこのVAKモデルの使い方、感じ方は人それぞれ個性があります。
視覚を中心に情報を得る人がいたり、聴覚が優れている人がいる。はたまた身体感覚が鋭い人もいらっしゃいます。
例えば、友達複数と山へ旅行に行ったとします。そしてその思い出を振り返ってお話している時、
「あの風景はよかったよね」というのは視覚的表現です。
「色んな鳥の鳴き声が聞こえたよね」は聴覚表現です。
「風が涼しかったし川に入った時の水気持ちよかったね」は身体感覚です。
これでわかると思いますがそれぞれがどれか一つの感覚しか持っていない訳ではありません。しかしそれぞれに「優位」な部分、割合の多い感覚があるということです。
あなたは、そしてあの人は優位?
自分がもしくは相手がどの感覚を普段中心に使っているかを知ることで、相手との感覚による表現を合わせることでコミュニケーションが円滑に、話が理解されやすくなります。
例えば冒頭の会話が理解できない時のそれぞれの感覚優位な人の表現の傾向をご紹介すると、それぞれの感覚の人が相手の会話を理解できない時の表現は次のようになります。
視覚優位の方
「話が見えないのよね」「話の焦点がぼやけているんじゃない?」
聴覚優位の方
「なにを言っているかわかんない」「ガチャガチャうるさくて聞こえない」
身体感覚優位の方
「話がうまくつかめないんだけど」「まったく感じられない」
これらは一つの例ですが、いかがですか?そういえばあの人は私と違うなと思い当たる部分はありませんでしたか。
自分がどの感覚が優位に普段使っているのか、相手の優位感覚は何かに気づくことが自分を知る、相手を知るヒントになります。
相手側の表現方法を理解して、自分の会話に取り入れてみると思った以上に共感を得られて嬉しくなるかもしれません。
今までのコミュニケーションが変わり始めるヒント
同じ空間にいても異なる印象をもつ
冒頭の相手の話を理解できない、会話が頭に入ってこないなどの悩みについてもう少し別の観点からもお伝えしたいと思います。
好きな人とどこかへドライブへお出かけしたとします。運転席と助手席の違いはあれど理屈としてはほぼ同じ空間で同じものを見聞き、感じているはずです。
VAKモデルが違うから表現方法は違いますというのはもうご理解頂けたかと思います。
そしてこれら感覚優位の差がそれぞれの人の世界観の構成に大きく影響しているということも知ってもらいたいと思います。
つまり、それぞれの身につけた感覚優位で物事をとらえているので、あなたが知っている世界と相手が知っている世界は同じ景色を見ていても違うんだということです。
私たちが生きていく上で多くの物事を目にし、聴き、触れてきています。前回の「今ここ」の記事でもご紹介しましたが、私たちの「今」は「今」の連続であり、その「今」の全てを記憶している訳ではありません。また何かをしている時も全ての情報をインプットするのではなく、自分にとって必要だと判断した情報のみを取捨選択しています。
取捨選択しなければ脳への情報過多になってしまいます。視覚優位な方は視覚からの情報を中心に、聴覚優位の方は聴覚からの情報を中心にというふうにです。
そしてその今の繰り返しでそれぞれの今まで育ってきています。
なので同じ世界を眺めて、自分の心に地図を描きながら世界を構成したとすると、それぞれが同じ空間にいても描きとるものが違うのです。
結果、それぞれの世界を描いた地図には偏りがあり、一つとして同じではないのです。
価値観が違うことを理解すれば楽になる
目の前に同じ景色があっても相手とは心の世界地図が異なるので全く違うように見えるんだということを知れば、話が合わないことも当たり前ですし、理解できないことがあるのも当然なことなのです。
その中でもよく似た地図を持っている人が、価値観が似ているということになるのだと思います。ただ、VAKモデルはあくまでその人のインプット情報の優位性に焦点を当てているのであって、この3つで全てが決まる訳ではありませんし、同じ優位でないと価値観が異なるというわけではありません。
そして、この優位は意識することで変えることもできます。
「全然理解できない」「理解するつもりはもうない」と相手との対話をあきらめないでほしいと思います。
矛盾したことを書きますが、相手と噛み合わなくて辛いと思うなら価値観のあう人と仲良くすればいいと思います。無理して付き合って、相手になんだか話の通じないやつだとか、蔑まれて生きるなんて自分を劣等感に引き込むだけですから。ただ、社会では自分に合わないものを全て拒絶して生きることも苦しいことですから、相手の感覚優位を知ることでそちらに寄り添う努力も試みてもらえればと思います。
まとめ
今回はVAKモデルをご紹介しました。冒頭でも書きましたがこれはほんの一部のさわりです。ただ、このようなちょっとした雑学を機に何か勉強するきっかけ、ヒントになればと思います。
会話が成り立たないのは自分と相手の心の地図が違うということです。
そしてその自分の心の地図に新しい目印を書き込み、地図を豊かにしていくこともできます。その際に例えば視覚優位な方は聴覚や身体感覚を意識して感じてみることなど他の二つの感覚に気持ちを向けてみるだけで行動の幅が広がったり、価値観が豊かになったりすると思います。
また、相手の感覚優位を知ることで、相手に合わせた感覚表現方法でコミュニケーションを取ることで「そうだよね」「わかるわかる」と共感を得やすくなるかと思います。
本日もお読みいただきましてありがとうございました。